汗だくになってたどり着いた裁判所。まず入り口で飛行機に乗る時のようなX線検査を受けてから、建物の中に入る。裁判を行う法廷は左手にあるようだが、今回は右手の総合窓口のようなところの列に並ぶ。開いている窓口の数は3つ、私の前には10組程度が並んでいる。待ち時間は25分といったところだったが、初めてのことで微妙に緊張している。まだ裁判でもなんでもないのに。早く自分の順番が来てほしいような、なかなか来ないでほしいような、複雑な気分で順番を待つ。他の人と窓口の職員との会話に耳をそばだてたり、今さらながら違反切符をしみじみと眺めてみたり。
と、ここで私はあることに気付いた。今まで、あまりにムカつくので切符をろくに見ていなかったのだが、よく見ると罪状(?)のところに「Unsafe Lane Change」と書かれている。「安全ではない車線変更」だ。てっきり「方向指示器を出さない車線変更」だと思っていたが違ったのだ! 警官に口頭で「方向指示器を出さずに車線変更したから停めた」と言われたが、実は「方向指示器を出さない車線変更」なんていう違反項目、ないんじゃないのぉ〜?!
考えてみると捕まった時、私の免許証を持ってパトカーに戻ったまま、警官はなっかなか切符を持って現れなかった。あまりに遅いので何をしているのかと首をねじ曲げて見てみたら、辞書のような物を開いてなにやら一生懸命に調べていた。きっと適用できそうな違反項目を必死で探していたに違いない。これは裁判にあたって、重要なポイントかもしれないぞ。
そうこうするうちに私の順番が回ってきた。なにか決まった言い方があるのかもしれないが、よく分からない。とにかく誤解だけはされないように、窓口で「Not Guilty」「Court Trial(を要求する)」と明言する。罰金の支払いを延期するかどうか聞かれたが、とりあえず払っておくことにする。なにかの手違いで後から追徴金を請求されてもイヤだし、無罪になれば返ってくるお金だ。159ドルの小切手のメモ欄に「Not Guilty」と明記して渡す。
そこで指定された裁判の日時は9月8日朝8時30分。もっと先になるかと思っていたが、意外にすぐだ。「朝早ぇ〜じゃん!」とか、「ま、とりあえず3週間は処分保留の猶予期間ができたな」とか、いろいろ考えている風で実は役に立つことは何も考えぬまま、とりあえず一仕事終えた安堵感に浸りながらチャリチャリと帰路に就く。
しかし時間が経つのは早いものだ。とりあえず現実逃避できた3週間の猶予期間は瞬く間に過ぎ、永遠に来ないでほしかった9月8日がアッという間にやってきてしまった・・・
(続く)